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~カミカゼ~ 男1:女1 上演時間:25分 作者:白鷹

〇台本上演の利用規約について

 下記ページの利用規約を一読したうえで、規約を守れる方のみご利用ください。

 https://call-of-ruitaka.fanbox.cc/posts/1761504

伊佐 茜 ♀ 17歳
大きな荘園を持つ大地主、伊佐隆盛の娘。戦争が始まってより、食糧温存の為に粗食に努めていた。家族の所に突然現れた万世基地の軍隊数人、贅沢の限りを尽くす彼らに対し反発を覚えるものの父親の命令によって腹立ちを抑えながら、家での手伝いに励む。西村和彦と話す内に心をほだされて想い慕うようになる。


西村 和彦 ♂ 19歳
元は小さな和菓子屋の長男。徴兵によってではなく自ら志願し、陸軍予科士官学校を経て陸軍飛行隊に入隊。万世基地、第210部隊彗星隊杉本隆中尉の指揮下に於いて特攻が決まっている。特攻に赴く前の数日間を基地から少し離れた田舎で過ごす恩給を貰った。茜に特攻への本音を告げるなど心を許している。

役表

茜  (♀)・・・
和彦 (♂)・・・

 

和彦「あの、茜さん。忙しそうなので、何か手伝える事があれば言って下さい」

茜  「え、あ・・・、西村、和彦さんでしたっけ?」

和彦「はい」

茜  「手伝いなど結構です。お仲間と一緒に夕食を楽しんでいらしたらいかが?」

和彦「う」

茜  「軍人様にお手伝いなど、お願いしたら私がお父様に叱られます」

和彦「その、判っているんです。いくら荘園をお持ちのお家柄とはいえ、戦争の最中、決して余裕がある訳ではない。なのに僕達が軍人だからと優遇を受けるなんて迷惑だ、と」

茜  「軍にお勤めの方にご無礼を働く事など出来ません。そして私には無駄口を叩いている暇もありません。どうぞ、お部屋にお戻りください」

和彦「千尋さんだって接待でお忙しそうにしているのがいたたまれなくて」

茜  「余計な気遣いだと申し上げているんです。千尋姉さんは心得の素晴らしい方だから嫌な顔もせずに接待ができるんです。私は、そんなに物分かりもよくなくて・・・、仏頂面を晒すくらいなら台所を手伝えと言われてここに来たんです。言わずに済む嫌味を言わせたくないなら部屋に戻って下さい」

和彦「不満があるんでしょう? 僕が聞きますから」

茜  「結構です」

和彦「お辛いでしょう? 僕たちの為に余り食べていないと聞きました」

茜  「判っているなら余計に台所から出て言って下さい! あ・・・」

和彦「・・・っと。だ、大丈夫ですか?」

茜  「少し、ふらついただけです。倒れこんだりして済みませんでした」

和彦「いえ、大丈夫です。あの、これだけ食事が並んでいるんですから少しくらいつまんだって判らないんじゃないんですか?」

茜  「は? そ、そんな卑しい真似できる訳ないでしょう?! 両親や千尋姉さんだって今日は一つのふかし芋を四つに分けて食べただけで頑張っているんです。私だけ食べるなんて出来ません」

和彦「え? ひ、一つだけ?」

茜  「食材はほとんど駐屯地へ送りますから」

和彦「じゃあ、僕たちが食べているのは」

茜  「これから戦地に赴く軍人様に宴を用意する為、特別に送付を免除された食材です」

和彦「贅沢・・・、ですよね」

茜  「そうですね。白米なんて今は一般人の口に入るものじゃありませんし、魚や肉など高級品なんて論外、野菜だって手に入りにくいのにお酒まで用意されていいご身分ですね!」

和彦「済みません。そんなに差別されているなんて知りませんでした」

茜  「私たちはまだいい方なんです。直接空襲があった地域などは何日も食べられない日があるそうです」

和彦「そう、ですか。じゃあ、僕たち軍人は民間人にとって迷惑千万極まりない存在ですね」

茜  「え?! あ、そ、そんなつもりで言ったんじゃ・・・。すみません」

和彦「判っています。この皿をここに並べればいいですか?」

茜  「あの、手伝わなくても」

和彦「元来、荘園をお持ちの家で暮らすお嬢様が、手伝いなど辛いでしょう。手伝います」

茜  「私が、そんなに惨めに見えますか?」

和彦「違います」

茜  「じゃあ?」

和彦「何かしていないと落ち着かないんです」

茜  「お座敷で楽しんでいらっしゃればよろしいじゃありませんか」

和彦「僕らが騒ぐのは、半ばやけくそです。茜さん達にとっては腹立たしい事でしょうけど」

茜  「やけくそ?」

和彦「手伝いますから、少し話をしてもいいですか?」

茜  「(溜息)私の言う事は聞く気がないんですね? お父様に見付かったらちゃんと西村さんが言い訳して下さいね」

和彦「勿論です。使った皿はこっちでいいですか? それと、名前で呼んでください」

茜  「落ち着かないならお休みになればよろしいのに。変わった人ですね、にし・・・、ぅ、か、和彦さんは」

和彦「布団に入っても眠れません」

茜  「・・・、もしかして。あの、まさかと思いますけれど、戦地に行くのが怖いんですか?」

和彦「・・・、情けないと思いますか?」

茜  「ええ、思います」

和彦「・・・、ですよね」

茜  「日の丸を背負った軍人様のおっしゃる言葉ですか? みっともない」

和彦「済みません」

茜  「もっと気を強くお持ちください。日本は、勝ちます」

和彦「そうですね。僕が疑っては勝ち目がありませんね」

茜  「そうです。きっと、他の軍人様も誇りを持っていらっしゃいます」

和彦「誇り、ですか」

茜  「えー、と。お隣に座っていらした、ん、と・・・、沖田さん、でしたっけ? 仲がおよろしいんですね」

和彦「陸予士・・・、あ、陸軍予科士官学校にいる時からの親友です」

茜  「お幾つなんですか?」

和彦「今年、19になりました」

茜  「私と二つ違いですね。礼儀のしっかりしたお方です」

和彦「優秀ですから。僕なんて太刀打ちできないくらいの優等生です」

茜  「和彦さんは劣等生なんですか?」

和彦「ん? 中間は、ないんですか?」

茜  「あ・・・、ふふ。済みません」

和彦「まぁ、凡人ですけど、ね」

茜  「このお皿を運んで下さい。そうしたら終わりですので休めるなら休んで下さい」

和彦「でも」

茜  「万全でないお体で戦地に赴いたら生きて帰る事も出来なくなってしまいますよ?」

和彦「・・・っ」

茜  「? 和彦さん?」

和彦「あ、いえ、済みません。このお皿ですね?」

茜  「どうか、なさったんですか?」

和彦「いえ、なんでも・・・。」

茜  「そう、ですか?」

和彦「お言葉に、甘えさせて戴いて、休みます」

茜  「はい、ごゆっくり」

 

 

 

茜  「和彦さん。朝から水汲みなんて、そこまでして貰わなくても・・・」

和彦「迷惑でしたか?」

茜  「迷惑だなんてそんな! 違うんです!」

和彦「茜さん?」

茜  「私、もう、迷惑だなんて思いませんから・・・」

和彦「どうか、されたんですか?」

茜  「千尋姉さんに聞いたんです」

和彦「何を?」

茜  「私・・・、私! 昨夜は失礼な事を!」

和彦「あの、落ち着いて下さい」

茜  「今の戦況も何も知らなくて!」

和彦「戦況、って」

茜  「和彦さん達の隊員が戦地で何をするのか!」

和彦「・・・っ、・・・、そうですか」

茜  「ごめんなさい! 私・・・、私! なんて・・・、心無い事を」

和彦「気にしないで下さい。知らなかったんですから」

茜  「じゃあ、それじゃ、本当なんですか?」

和彦「何が?」

茜  「本当にそんな酷い政策が、打ち出されたんですか?」

和彦「今までにも沢山の上官や同僚が特攻しました」

茜  「そんな」

和彦「僕の所属する軍隊は、陸軍航空隊。僕等飛行兵は飛行機に乗って敵陣へ行きます。機体に積む燃料は敵母船までの片道分、爆薬を積んで敵母船に特攻します」

茜  「そんな! そんな事をしたら、みんな・・・」

和彦「はい。生きて戻る事は出来ないでしょう」

茜  「・・・っ」

和彦「重要な軍令です。この策戦を神風特別攻撃隊、と言います」

茜  「判りません!」

和彦「茜さん・・・」

茜  「どうして、そこまで」

和彦「敵の虚を突いた策戦です。確実に打撃を与える事が出来ます」

茜  「そこまでする必要があるのですか?! そんな、命を粗末にするような真似・・・」

和彦「戦争は殺し合いです!」

茜  「・・・っ!」

和彦「いかに多くの敵を屠るか、それが皇国の命運を握っているのです! むしろどんな手段を使ってでも日本はこの戦争に勝たねばならない! 我々はそれに疑問を持ってはならない! 必ず勝てると信じなければならない!」

茜  「和彦さん・・・」

和彦「自分の命一つで10人の敵を屠る事が出来れば大きな戦果だと言えるでしょう」

茜  「・・・」

和彦「怒鳴ったりして、済みません」

茜  「いいえ・・・、でも」

和彦「同情や憐憫は僕達に向けないで下さい」

茜  「・・・っ」

和彦「僕達皇国軍人にとって名誉ある事です」

茜  「判りません」

和彦「軍令です!」

茜  「私は! 物分かりが悪いんだって言いませんでしたか?!」

和彦「茜さん」

茜  「どうせ、止める術を持たない私一人が判っていなくたってどうって事ないじゃないですか!」

和彦「それは、そうです、けど・・・。ぷふっ」

茜  「なんですか?! 私、何かおかしい事言いましたか?」

和彦「自分の物分かりの悪さをそこまで開き直るって、余りできる事じゃないな、って」

茜  「あ・・・」

和彦「茜さん。ありがとうございます」

茜  「え?」

和彦「少し、楽になりました」

茜  「何・・・、が?」

和彦「心のどこかで、誰か否定してはくれないか、と思っていたなんて軍に知れたら大事ですが、それでもそう思ってくれる人がいるなら、僕達の命は無駄ではない」

茜  「私、何度だって言いますよ? 物分かりが悪いので!」

和彦「くすっ・・・、ありがとうございます」

 

 

 

茜  「和彦さん、こんな所にいらしたんですか?」

和彦「夕日が余りにきれいで、見入っていたらいつの間にか日が沈んでいました」

茜  「いよいよ、明日。行かれるんですね」

和彦「はい」

茜  「なんだか、もっと伝えるべき言葉があるんでしょうが、いざとなると何も気の効いた言葉が思いつかなくて」

和彦「別に、何も要らないですよ」

茜  「今朝、千尋姉さんが沖田さんの部屋から出て来るのを見ました」

和彦「え?」

茜  「和彦さんもご存じなかったんですね」

和彦「え、でも、千尋さんは確か華族の婚約者がいた筈じゃ」

茜  「私も軽はずみだと思いました。でも姉さんに話を聞いて、納得しました」

和彦「納得?」

茜  「二人の思いがどうなのかは判りません。でも、沖田さんの願いだそうです」

和彦「沖田が? まさか? そんな無責任な事をする奴じゃ」

茜  「沖田さんが、姉さんに頼んだそうです」

和彦「頼む?」

茜  「はい。19年、己が生き方に不足はなかった。けれど、ただ一つ女を知らずに死ぬのは何が為男に生まれたか判らない、って沖田さんが言うので床に侍ったそうです」

和彦「千尋さんは、それで良かったんですか?」

茜  「華族と言えど、これから国の為を想い、死地に赴く若者一人の最期の願いを切り棄てるなら、そんな心無い所に嫁ぐ積もりはありませんと言っていました」

和彦「千尋さんは、強いですね」

茜  「姉さんは思い切った事をする人だから、私も驚きました」

和彦「沖田は、千尋さんを慕っているから」

茜  「そう、なんですか?」

和彦「多分」

茜  「多分?」

和彦「聞いた訳ではないので」

茜  「そう、ですか。か・・・、和彦さんは、その、あの・・・、女性を・・・、もう、知って・・・」

和彦「知りませんよ。陸予にいてそんな暇ないですから」

茜  「そう、ですか」

和彦「僕は、茜さんにそんな無理強いを望みませんよ?」

茜  「あ、や、そ、そう、ですか」

和彦「それに、思いを残すといざという時に躊躇いが走るかもしれません。安直な事は出来ません」

茜  「・・・、そう、ですよね」

和彦「そろそろ、戻らなければいけませんね」

茜  「夕食も始まりますし、皆さんが心配されますものね」

 

 

 

和彦「五日間、大変お世話になりました」

茜  「もう、行かれるんですね」

和彦「はい」

茜  「私、西村さんに言っておきたい事がありま」

和彦「敬礼! 陸軍航空隊二等兵、西村和彦! 日の丸を背負いこの日本と茜さんが生きて行く大地を守る為出陣します!」

茜  「・・・っ! 和彦さん」

和彦「達者で、茜さん。・・・さようなら」

茜  「はい・・・。ご武運を、お祈りしています・・・」

 

 

 

「待っています! ・・・、ふ、く・・・、うぁ、あ・・・、あなたに、声が届かなくなってからしか言えないなんて! 和彦さん! うぁあああああああん」

 

 

 

茜(M)昭和20年8月15日正午 第二次世界大戦 終戦。

日本は、敗けた。

玉音放送によって、国民が涙を流しながら国歌斉唱してから1年余の歳月が経っていた。

千尋姉さんは、予定していた華族の元へ嫁ぐ為に家を出て行った。

失う事を覚えてから見る景色は、どこか物悲しくてまるで色の無い世界の様だった。

 

茜  「誰?!」

和彦「・・・ぁっ!」

茜  「・・・え? か、和彦・・・、さん?! ・・・生きて、いらしたんですか?!」

和彦「・・・っ!」

茜  「っ?! か、和彦さん! どうして?! 待って下さい」

和彦「・・・済みません!」

茜  「どうして?! 和彦さん! なんで逃げるんですか?!」

和彦「放して下さい!」

茜  「嫌です! せっかく帰って来て下さったのに!」

和彦「僕は、帰って来るべきではなかったんです!」

茜  「なんでですか?! どうしてそんな事仰るんですか? 私には判りません! ・・・っ? 和彦さん、右腕・・・、どうされたんですか?」

和彦「動きません。使い物になりません」

茜  「・・・っ! 戦争で?」

和彦「・・・はい」

茜  「でも、生きていらして何よりです」

和彦「死ねばよかった。生きていてはならなかったんです! それなのに僕は! 皇国軍人の誇りを忘れて!」

茜  「和彦さん! 落ち着いて下さい」

和彦「僕は・・・」

茜  「・・・、教えてください、和彦さん。何が、あったんですか?」

和彦「あの日、僕を含む第210部隊彗星隊は杉本隆中尉の指揮下に於いて万世(ばんせい)基地より出陣しました。次々に敵艦隊へ特攻をかける仲間を見ました」

茜  「・・・っ」

和彦「沖田も! 機体が擦れ違う寸前、視線を交わし突っ込みました。でも僕は! 沖田の機体が爆発するのを見て一瞬の怖れが走って操縦桿を手放してしまった! その時横風に煽られ機体が大きくぶれて・・・、立て直そうと必死に操縦桿を操りました。けど、すぐに燃料が切れて海へ不時着したんです。右腕はその時の衝撃で動かなくなりました」

茜  「沖田さん・・・。そうですか」

和彦「僕は、そのまま気を失った。気が付いた時には虜囚となっていました」

茜  「え?」

和彦「敵の施しを受け、敵陣で日本の敗戦を知ったんです!」

茜  「そう、ですか」

和彦「数日後、日本に帰りましたが右腕の使えなくなった僕は軍に在籍する事も叶わず退役になりました」

茜  「退役。ではご実家に戻られたんですね? ご両親はご帰還を喜ばれたでしょう?」

和彦「喜んだりするものか!」

茜  「か、和彦さん? だって、凱旋したのではありませんか」

和彦「死に切れなかった特攻隊員が近所に受け入れられる筈がありません」

茜  「どうして、ですか?」

和彦「近所からは無頼漢と呼ばれ、我が家は日本男児の誇りを棄てた情けない息子を持った憐れな家だと後ろ指を指され、結婚予定だった妹は破談になった!」

茜  「そんな! 戦って帰って来たんじゃないですか! 何が無頼漢ですか!」

和彦「家に、煉瓦が投げ込まれました。ガラスが割れてその破片で母が怪我をしました」

茜  「何故、そんな心無い事を! 今まで国の為に戦ってきた人に対して・・・、なんて酷い!」

和彦「煉瓦には非国民と書かれていました」

茜  「非国民・・・、て、そんな」

和彦「生きて帰って来るべきではなかった! 虜囚となったその時に自決していれば!」

茜  「そんな事はありません!」

和彦「軍の戒律を破り戦争で命を散らせなかった卑しい男に食わせる飯はない! 出て行け、と」

茜  「まさか、ご実家がそんな・・・」

和彦「本当はここにも来るべきじゃなかった」

茜  「いいえ!」

和彦「ひと目、茜さんの姿を見たら、そのまま去って自決する積もりでした」

茜  「嫌です! せっかく帰って来て下さったんでしょう? 死ぬなどと仰らないで下さい!」

和彦「生きる場所も死ぬ場所も判らない命など果てるべきです」

茜  「ここで暮らせばいいじゃないですか!」

和彦「・・・っ?!」

茜  「ここを和彦さんの生きる場所にすればいいんです」

和彦「あなた方に迷惑はかけられません」

茜  「迷惑なんかじゃありません!」

和彦「僕を匿ったりしたら茜さんの家がなんと言われるか」

茜  「戦地に赴く事もなく、同胞を失う痛みも知らず、ただ戦争が終わるのを待っていただけの人達に何を言われたって構いません!」

和彦「けど、僕は・・・、腕も使えない、不自由な身体で」

茜  「もう十分です、和彦さん」

和彦「・・・っ」

茜  「戦争は終わりました。和彦さん、よく戦って、よく帰って来て下さいました」

和彦「茜、さん」

茜  「心も体も、もう休ませてあげて下さい」

和彦「・・・っ! く・・・、ぅ・・・(泣く)」

茜  「日本は敗けました。けれどこの国は強い。必ず立ち直る事が出来ます。そうでなければならない」

和彦「・・・はい」

茜  「だから、和彦さん。どうかこの地で私と一緒にこの国の未来を見届けて下さいませんか?」

和彦「ここで・・・、生きて?」

茜  「きっと飛行機を揺らした横風は和彦さんに生きろと、そう言ったのです」

和彦「・・・っ」

茜  「和彦さん、生きて帰って来て下さって、ありがとう。あの時言えなかった言葉言ってもいいですか?」

和彦「あの時?」

茜  「和彦さんが万世基地に帰った日です」

和彦「あ」

茜  「私、待っています、と伝えたかったんです。待っていたんですよ、ここで、ずっと」

和彦「・・・っ、ありがとう、ございます」

茜  「ふふっ、違いますよ」

和彦「え」

茜  「元軍人様は帰って来た時に言う言葉を知らないんですか?」

和彦「・・・っ、・・・ただいま、戻りました」

茜  「おかえりなさい」

一次創作サークル ルイは鷹を呼ぶでは「花魁道中いろは唄」

のゲーム制作にあたり皆様からの支援を募っております。
台本をご利用し、少しでもご支援いただければ幸いです。

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