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堕ちて鬼灯、毒華喰んで燃ゆ -鬼妖異聞録- 序章 ~追憶(ついおく)~
男性0 女性2 上演時間:30分 作者:白鷹 / 嵩音ルイ

〇台本上演の利用規約について

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 https://call-of-ruitaka.fanbox.cc/posts/1761504

珠酊院(しゅていいん) (♀) 28歳

 

鬼狽羅と対立する人間穏健派の鬼の首魁。冷静沈着で物静か、頭脳明晰な才色兼備な女性。

同属の鬼も大切にするが人間との間での争いごとも出来れば話し合いで解決しようと試みている。

言葉遣いは京弁、はんなりとした話し方だが威厳がある。

大変な刀の使い手で愛用している刀は抜かずの刀とも呼ばれる『時雨』。

抜いた事すら判らない間に敵を切り飛ばす事からついた異名。

 

 

鬼狽羅(きばいら) (♀) 22歳

 

かつて鬼灯島(ほおずきじま)に棲んでいた鬼一族の首魁。

原典の勇者オティスとは300年前からの因縁がある。毒を使う事に長けており、医学にも精通する。

ヴァンハーフに協力して九尾狐の威津那を殺生石の封印から解放するのに協力し、

威津那の力により若山遊郭へ時空間移動させられた。

言葉遣いは京弁。倭の国に鬼灯島(ほおずきじま)の面影を重ねて珠酊院の事などを思い出し郷愁の思いがある。

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【配役表】

 

珠酊院 (♀):

鬼狽羅 (♀):

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珠酊院 「鬼の住まう鬼灯島(ほおずきじま)―――。ここは昔人間の住む島やった。人間の持つ知識、文化、財産ありとあらゆるものを弱い人間から奪い取っていつしか鬼の島となった。恐怖に慄き人間は鬼に生贄を差し出しながら細々と短い生を紡いだ。うちは、親からそん話を聞いた時に贖罪を誓こたんやった。鬼と人間の軋轢は消えることなく、なんや鬼と張り合える程の力を持つ人間が現れたという情報を耳にした。そん時に思たんよ、今しかない。今を逃したら永遠にこの擦れ違いがなくなる事はない。愚かやと嗤わらわれても、唾を吐きかけられ罵られてもいつか人間と鬼の共存できる世界を―――。夢に見てしもたんや・・・」

 

***
 

珠酊院 「鬼狽羅、あんさんは仲間連れてこっから早よ往ぬんや、ええな」
鬼狽羅 「何阿呆な事抜かしてんねや! あんさん、彼奴等の攻撃力見たやろ!」
珠酊院 「・・・力だけが、全てやない」
鬼狽羅 「またお得意の話し合いか?そないなもんが今更通じる思てんの?」
珠酊院 「せやけど、ここで逃げたら『ああ、やっぱり鬼やった』と、そない誤解を受けたままになる」
鬼狽羅 「誤解も何も、先に牙剥いたんはあっちやぞ!」
珠酊院 「うちは共存を矜持にして今まで生きて来たんや。それ覆したらうち自身を否定する事んなる」
鬼狽羅 「矜持の為に命棄てたら本末転倒やろが!」
珠酊院 「矜持守って命散らすなら本懐や」
鬼狽羅 「この阿呆が!」
珠酊院 「人間ちゅう種族は脆弱や。うちらが本気出したら素手で簡単に死ぬ」
鬼狽羅 「だからこそ、うちらの力を示さなあかんのやろ」
珠酊院 「逆や。やからこそ、暴力的に支配したらうちらはただの頭悪い獣や。そない思われるんは不名誉にも程がある」
鬼狽羅 「あんさんがそうやって温情かけた結果百々冥 (どどめい) はどないな目ぇに合うたんや!! 汚らしい人間どもに輪姦されてぼろぼろにされたやろが!!」
珠酊院 「・・・百々冥は可哀想な事をした思てる。うちのせいやな。けどその憎悪をぶつけたら負の連鎖が止まらなくなる」
鬼狽羅 「そうやって人間共の横暴赦し続けて付け上がらせたんちゃうんか!」
珠酊院 「それはちゃうで? 鬼狽羅」
鬼狽羅 「何がちゃうんよ! 事実人間どもはうちらを殺して角や肝臓捌いて売り飛ばしよるやろ!」
珠酊院 「せや。過去に鬼が人間から奪ったもんをうちらは返さなあかん」
鬼狽羅 「四則演算で種族の壁越えられる思てんのかいな! 殺されるまで判れへんのか!」
珠酊院 「均衡を保つ為に耐えるんは足し引きちゃう。人にある理性がうちら鬼に無いとは思いたくないんや」
鬼狽羅 「うちはあんさんの矜持やら心意気やらを悠長に聞きに来たんちゃうで! さっさと逃げろ言うてんのや!」
珠酊院 「うちが逃げたら、あんさんはどないしはるん?」
鬼狽羅 「そんなもん、連中ぶっ潰すに決まっとるやろ!」
珠酊院 「それじゃ堂々巡りやと何度言えばわかるんや!」
鬼狽羅 「腑抜けた意見は要らん。牙剥いた連中に掛ける情けはあらへん。自分らの脆弱さを思い知ったらええんや」
珠酊院 「ほなら尚の事こっから引く訳に行かへんわ。うちが守って来たもんをあんさんが壊してええっちゅう道理はあらへん」
鬼狽羅 「あんさんがここを引かへんちゅうならうちも考えがあるわ。ここからは好きにさせて貰うで」
珠酊院 「鬼須羅! 待ちゃ! 好きて、何する積もりや! 余計な事したら許さへんで! 鬼狽羅!」
鬼狽羅 「腑抜けの年増は黙っとりや! うちが守る・・・。鬼の天下は奪わせやせえへんぞ、勇者めがァ!」
珠酊院 「鬼狽羅・・・、力だけでも、想いだけでもダメなんや。・・・どこで、間違うてしもたんやろなぁ」

 


数年前―――
 

鬼狽羅 「くはは、せやから言うとるやろ鈴華 (すずか) ? 漸く首魁の座をうちの物に出来たんや。まずは――、ん?」
珠酊院 「ふー(煙草たばこを吹かす)・・・それは何や、鬼狽羅」
鬼狽羅 「誰かと思うたら、うちにむざむざ首魁の座を奪われた年増の腑抜けやないの」
珠酊院 「質問に答えや。よもや会話も出来へんほど、頭ん中まで筋肉になってしもたわけやあらへんやろ?」
鬼狽羅 「はいはい。そう会話を急ぎなや、煙草ばっかしぷかぷか吹かしとるから気も命も短かなる」
珠酊院 「酒ばっか飲んで、脳も蕩けてしもたんか?」
鬼狽羅 「それとも、首魁降ろされてやることなくなったから煙草ばっかり吸うんかいな?情けあらへんなぁ」
珠酊院 「今のあんさんは仮にも首魁、鬼の上に立つ鬼であるならば、誰の目にも誇らしく映る旗頭でなくてどうする」
鬼狽羅 「・・・うちの陣営、数割奪ったことがそないに誇らしいか」
珠酊院 「あんさんが首魁になることに異を唱える者がいる。その意味が分かるか?」
鬼狽羅 「変化を怖れる弱虫ばかり。鬼灯島 (ほおずきじま) の未来やなくて、己の保身しか考えとらん」
珠酊院 「鬼灯島を思うからこそ、あんさんという主を認められへんと言う事や」
鬼狽羅 「は、懐古厨が。現状を否定するだけで自身が有能やと示せるとでも思っとるんかいな?」
珠酊院 「それでも、行動することを選んだんや――鬼狽羅ではなく珠酊院を、とな」
鬼狽羅 「うちは貴様ら穏健派とは違う。このうちが、鬼の世界を変える」
珠酊院 「そういいながら、あんさんの足元に転がっとる物はなんや?」
鬼狽羅 「見たらわからん? 宝石に食料、それから見てみぃよこれ。黒胡椒やで。連中もなかなかええもん溜めこんでたみたいやわ」
珠酊院 「鬼狽羅。あんさん首魁以前に、鬼としての矜持はないんか」
鬼狽羅 「矜持ィ? あるに決まっとるやろ。せやから鬼たちをまとめ上げ、こうして首魁としての務めを果たしとる」
珠酊院 「務め、と。人を襲い、金品や酒を奪い取る。この行いに誇りがあるとあんさんは言うんやな?」
鬼狽羅 「人間と手を取り合おうなん、世迷言宣うあんさんに言われとうないわ。うちはうちが思うようにやる、年増はとっとと隠居したらどうや? この八岐城(やまたじょう)の天守閣は、もううちのもんや」
珠酊院 「そうもいかんからこうやってまだ出張っとるんや。あんさんの思うままにして、鬼を滅ぼすわけにはいかんのや」
鬼狽羅 「は! 臆病者はこれやから。鬼灯島で縮こまってたかて、鬼の立場が良くなることなんかあらへん」
珠酊院 「鬼灯島は島国や。うちらの生活は人に頼るもんも多い。奪うばかりではいずれ孤立して鬼そのものが餓死してまう」
鬼狽羅 「そうはならん。人間どもに知らしめるんや。鬼の強さを。恐ろしさを。そうしたら、わざわざ食って掛かる連中もおらんくなるわ」
珠酊院 「それで鬼の立場危ぶめたら元の木阿弥や」
鬼狽羅 「奪えばええだけのことや。それともなんや、「取引」とやらで得るんか?」
珠酊院 「そういうやり方もある」
鬼狽羅 「足元見られてろくな結果にならんかったやろが。そのせいでうちらの生活は苦しゅうなった。そないなことも忘れたんか?」
珠酊院 「だからと過激な手打ったら身ぃ滅ぼす。うちらがこないな僻地に追いやられたんはなんでや?」
鬼狽羅 「同じ過ちは繰り返さん。勢力をいくらかあんさんに奪われたんは惜しいけど、これだけあればうちはやれる」
珠酊院 「ほう? そんための計画もあるんやな?」
鬼狽羅 「当たり前や、計画なき信念はただの妄想や――。あんさんが成せんかった鬼の世界を、うちがつくる! 黙って見とれ」
珠酊院 「道を外れたら、その首掻ききるさかい。覚悟せえや」
鬼狽羅 「あんさんの言う「道」ってなんよ。人に都合いい道具に成り下がる道か? この鬼灯島で一生閉じこもって過ごす道か?」
珠酊院 「それが短慮や言うとる」
鬼狽羅 「未だ自分たち同士でいがみ合う人間どもと、本気で分かり合える思うとるんか?」
珠酊院 「思うとらんよ。うちとあんさんですら理解し合えてないんや、人全てを理解し、人全てに理解されるはずなんあらへん」
鬼狽羅 「わかっとるくせに、間違え続けるんか」
珠酊院 「わかっとるからこそ挑むんや。全ての鬼の安寧のために」
鬼狽羅 「そのために人に媚びるんか。アホらし」
珠酊院 「そう、目くじらたてるもんでもあらへんやろうに・・・過去は、変えられへんのに」
鬼狽羅 「・・・うちが、過去の嫉みで人間襲ってるとでも思っとるんか」
珠酊院 「もしそうなら、うちは時雨を抜かないかんようになる」
鬼狽羅 「やかまし! わかったような口聞きなや!」
珠酊院 「っ・・・鬼狽羅!」
鬼狽羅 「うちは為す、鬼の世を。人なんぞに蹂躙されんように、鬼の力を示す! もう、あんな思いするのはうちだけでええんや」
珠酊院 「うちは・・・あんさんへの抑止力や。そこまで言うなら成してみぃや、あんさんの思う世を」

 


現在―――


珠酊院 「首魁の座を追われて数年・・・ふー・・・栄枯盛衰、とは言うたもんやけど。何が、正しかったんかな」
鬼狽羅 「ぐ、ぁう・・・しゅて、い・・・」
珠酊院 「な、鬼狽羅!? あんさん、右腕どないしたんや!! それに、角も!」
鬼狽羅 「切り飛ばされた・・・。黒騎士て呼ばれとる男や・・・。鈴華を狂わせた男や!!」
珠酊院 「止血は・・・、処置はしてはるんやな。良かった」
鬼狽羅 「何がええんや?! 連中、人や疑う程の戦力持ってはる。葛記 (くずき) も百々冥も討たれた・・・っ!」
珠酊院 「葛記と・・・、百々冥が?」
鬼狽羅 「うちかて逃げたなかったけど・・・、けど! 百々冥が! 命張ってうちに転移術使こたんや!」
珠酊院 「百々冥は・・・、律儀な子やからな。あんさんへの恩返し、なんやろ・・・、ほなら、あんさんは生き延びなあかんな」
鬼狽羅 「当たり前やろが! 誰が死ぬ前提の話するんや!」
珠酊院 「せやな・・・、鬼狽羅ともあろう鬼が『人間如きに』討伐される様なみっともない真似ようせんやろな」
鬼狽羅 「止血だけやのうてきちっと処置するわ。珠酊院、そこの冥利縁酒 (みょうりえんしゅ) とって・・・」
珠酊院 「無茶言いなや、そないに消耗しとるんに術が使えるかいな」
鬼狽羅 「血い、流しすぎたわ。こないだ仕入れた奴隷に手頃な生娘おったな。ひとまず喰って」
珠酊院 「忙せわしないな。品もへったくれもおへんわ」
鬼狽羅 「喧し! 彼奴等は絶対に許さへん。ちょい腕の立つ人間来た言うて、従順に隷属してた奴隷が武器にもならへん棒持って鬨の声上げる始末や」
珠酊院 「その暴動は抑えたんか?」
鬼狽羅 「何てことあらへん、数人斬り殺したら縮こまって大人しゅうなったわ」
珠酊院 「・・・今まで、反乱を起こされたことなんあらへんかった」
鬼狽羅 「力もあらへん癖に気ぃばかり大きくなって鬱陶しい事この上ない」
珠酊院 「それだけ、不満を溜め込ませてたちゅう事やろ。せやったらいずれは対峙せなあかん問題やったんちゃうの?」
鬼狽羅 「はっ!  今まで隷属するしかなかった人間が、国を統べる事なん出来るかいな。驕慢甚だしいわ」
珠酊院 「鬼こそ至高、追随する者なし。その考えが驕慢や、思うけどな」
鬼狽羅 「仲間殺されて、腕落とされてもまだそない言える?」
珠酊院 「業の行く末やったと思うわ。人が作る酒の旨さ、建造物の整合性、反物の美しさ、奏でる音楽の雅さ。それらを蹂躙するでなく守る立場やったら変わったかもしれへん」
鬼狽羅 「珠酊院、あんさんとは死んでも相容れへんわ。こない状況んなってまだうちを説得しはる」
珠酊院 「もっと、やれることがあったはずや」
鬼狽羅 「人間の味方やのうて、同朋の命尊んで欲し思うんはうちだけかいな? 人間に殺された同胞の怨讐を果たそ思わんのかいな! 葛記や百々冥偲んで人間憎むんはおかしいか!?」
珠酊院 「可笑しないよ? 鬼狽羅。うちかて心はあるんや。可笑し思わへんよ。荒れ狂う感情押し殺す為に唇噛んで、拳握り締めて耐えとうよ」
鬼狽羅 「・・・っ! 唇、血い滲んではるやん! そないなるまで我慢して何の得がある!」
珠酊院 「己を獣 (けだもの) と思いたくないからや。激動の儘に奪われたから奪う、殺されたから殺す、そないな短絡思考で動くちゅうならそれは獣と変わらん!」
鬼狽羅 「だったら!」
珠酊院 「高尚さ気高さを誇るならそれに恥じる行為は己を辱める! 誰に凌辱を受けても己の心は高潔でいられる! けど己が復讐心に屈したら生涯後悔しかない! せやから激動は封じたんや!」
鬼狽羅 「うちは獣 (けだもの) でええわ」
珠酊院 「鬼須羅!」
鬼狽羅 「許せんもんは許せん。珠酊院の矜持は判った。けど、うちにもうちの矜持がある」
珠酊院 「あんさん、は」
鬼狽羅 「鬼ん種族に楯て突いてただで済む思われるんは絶対に許さへん」
珠酊院 「・・・綺麗やなあ・・・、鬼狽羅」
鬼狽羅 「は? こないな時に何言うてはるの?」
珠酊院 「この戦、 うちが止めてくるさかい、あんさんは手え出しなや?」
鬼狽羅 「止める? なん言うてはる・・・、っう!」
珠酊院 「行く末にこそ、去りあらんことを祈る。『朱雀(すざく)・舞踏連枝(ぶとうれんし)』」
鬼狽羅 「な、転移の術?! なんしはるんや! うちはこれから彼奴等んとこ戻って連中を血祭りにあげるんや! 勝手な事すなや! 珠酊院!」
珠酊院 「仲間思う、純粋な鬼狽羅をうちはずぅーっと綺麗や思てた。大好きやったよ。生き延びるんよ! その先の決意が怨讐でも共存でも決して後悔したらあかんよ!」
鬼狽羅 「珠酊院!! 術を解け! この阿呆!!」
珠酊院 「あんじょうやりや鬼狽羅」
鬼狽羅 「珠酊院―――!!!」


珠酊院 「『時雨居合(しぐれいあい)・霞青海波露払(かすみせいがいはつゆばらい)』!!」
 

 

鬼狽羅 「その後、鬼ん首魁の首を刎ねた人間共は鬼灯島の全てを奪い尽くし、蹂躙した。残る鬼は、うち一人。そのまま300年、鬼灯島に足を踏み入れるものは誰も居なかった」

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